2012-10-02

青は渡れ










時の移ろいは、時として色濃い思い出までも持ち去る。
輝かしい思い出も、
苦い思い出も。


時間とは不思議な物で、
その威力は形容し難い程に強く強く、
そして単一方向に、冷酷に、
ただ、押し出す。


その冷酷で規則的な時の移ろいは、
場合によっては人々の心に救いをもたらす。


僕とてこの恩恵にありがたみを感じる事も多いのだ。


やっと傷が癒えた。

今なら、
お話出来る。
そう思った。
少し、書いてみよう。





こんな出来事があった。





例えば信号機。
青が点灯している。
青は・・・進めだ。
進む。
赤は?
止まれだ。
命が惜しい奴は皆従う。


疑いもせず。


今から3ヶ月くらい前だろうか、
僕は元気だった。
体調がいい。
身体も軽く、思考も冴えていた。
生き生きと仕事をして、
バランスよく食事を摂り、
ぐっすりと眠る日々。

最高だった。


そんなある日、ウンチをした。
いつも通りの行為。
毎日ウンチをする。
日々快便。



でも今思えば、
その日ひとつの気付きがあった。



ウンチが、なんか、少し変だったんだ。
少し、なんとなく、滑らか過ぎる感じだ。
メルティーな、
シルクタッチというか、
なんか、そんな感じだ。

ん?
と思ったが、
ウンチまでセレブになってきたか?
とかなんとか独り言とか言っちゃって、
いつも通りにウォッシュレットでキメて、
ウンチにGoodBYE.


その晩、
いつも通りぐっすり寝た。
快眠だ。
眠りは深く、目覚めも良い。


目覚ましもかけずに、
目が覚める。


AM6:00



『ん〜〜〜っ』

と、布団の中で伸びを1回。

今日も素敵な一日が始まる。

そう確信していた。

そして、


ちょっとオナラをしたくなった。


隣では娘がスヤスヤ。
その横にミコちゃん(チワワ♀)
その横にカミさん(ひと♀)

皆すやすや寝てる。

幸せを噛み締めた所で布団にくるまり、
オナラ、失礼します。


『プパパパパんッッ』



!!!!?????


反射的に海老ぞりをした。
お尻を上に持ち上げた。
なんか、おかしい!!!!!!!
いつものオナラじゃない!!!
次の瞬間、
肛門周辺から人の温もりを感じた・・・・
え?え?え???
冷や汗が吹き出した。
おそるおそる、パンツに手を差し込む。
手をお尻へ。

ん・・・・・


アウト!アウトだ!!!

完全にアウト!!!


漏れてる。


うんこ、漏れてる。



すぐに仰向けからにうつ伏せに、
スタイルチェンジ。


ミコちゃん(チワワ♀)が起きてる!
興奮している!!!


ミコ!!落ち着け!!!!



すぐにトイレに駆け込んだ。
やはり、手での確認だけでは認めたくない。


こんなの嘘だ。
夢だ。
31歳だ!!!!!


そう心で叫びながらトイレへ。


ズボンを下ろす。
パンツも下ろす。


目視、


凝視、





アウト!!!




完全にアウトだった。




うなだれて、
ノーパンで、汚いお尻で、
お風呂場へ。



身体を洗い、パンツを洗う。


31歳、うんこが漏れた。


早朝の風呂場にしゃがみ込み、
自分でパンツを洗っている。



ミコちゃん(チワワ♀)が脱衣所でシッポを振っている。


ミコ・・・・
今は一人にしてくれ。




今回の失敗の原因は一つ。



青だからといって、必ずしも進めではないという事だ。



確かに信号は青かった。
いや、蒼かった。



どう考えても、オナラOKなシチュエーション。



では、なぜ失敗したのか。



身体からのサインが少なかったが、
僕はお腹を壊していたんだ・・・。



お腹を壊す=下痢=腹痛



このセオリーを信じ過ぎていたのだ。


今考えると、昼間のメルティーウンチだけが
身体がくれたサインだった。


俺はここを見逃した。
シルキーなセレブだと勘違いした。


本当は、お腹を壊していたんだろう。
そのプロローグだったのだろう。


だけど、腹痛が全くなかった。
本当に、全く!!!
ここがトラップだった。



腹痛の無い下痢・・・・
こんなものが、世の中に存在するのか・・・!?
存在するとしたら、
漏洩を阻止出来るのか・・・・!?



数日間、悔しくて悔しくて、
パソコンに向かうたびに



【下痢 腹痛 なし】

の検索の日々。


【あります。】

パソコンさんは、そう答える。

参考
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1164194791


まさか・・・・

まさか・・・・

もう一度・・・


【下痢 腹痛 なし】





【あります。】



・・・・・。




妻にも
もちろんばれていた。
パンツを洗う俺の背中を目撃していたらしい。


小さな小さな背中だったとの事だ。


その後は、ミコちゃんがウンチする度に
俺の事見やがる・・・。


くそぉ・・・・・





青信号、
右見て、左見て、右見て、


渡りましょう。





































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