2013-02-08

久高光 という男







大切に思っていた、一人の友人が死んだ。

人は慣れるし、薄れるし、忘れる。

これは自己防衛の為なのかもね。

じゃないと他が全てぐちゃぐちゃになるからね。



薄れる前に、記す。



出会ったのは・・・
2010年くらいだったと思う。
沖縄での山本精一さんのLIVEを企画していたのが彼で、
それがきっかけだった。

もしゃっとしたパーマヘアーの前髪の奥に構えた彼の瞳は
独特だった。
弱いけど、優しいけど、
受け入れる感じではない。


久高さんは宇宙卵というバンドをやっていて、
なんともいえないサイケデリックな音を産み出す、
ある種確立された独自の感覚を持った人だった。
そして常に前進と追求を考え続けていた。
音に対して本当にストイックに、
真っ直ぐ向き合う人だった。


その後ちょいちょい連絡をとるようになり、
LIVEに行ったり、
集まって食事したり、
音楽の話をしたりして、
時間を過ごした。


凄い繊細な人だった。
決して良識のない人ではない。
いつも周りに気を配る。
お節介はしないけど、ちゃんと見てる。感じてる。
捉えてる。
そして恥ずかしがり屋さんなりのフォローを、ちゃんとする人だった。

俺はそんな不器用のお手本みたいな久高さんが大好きだった。


彼とのやり取りの中で特に印象に残っているのもがある。

こうゆう部分が、彼の信念を如実に表していると思う。

こうゆう人間は、世に必要だし、
こうゆう人間が、もっと増えないといけないと思う。



このエピソードは、
久高さんが美容師の俺に、
『髪を切ってくれ』と言ってきた時の話。




彼は、まわりには服装も髪型も【てきとう】に見えていただろうね。
でも、違うんだよ。
彼はものすごいこだわりを持っていた。
【てきとう】に見せる事にこだわりをもっていた。
そう、計算された【てきとう】さだったんだよ。
彼のヘアースタイルのオーダーは、決して適当ではない。
『小綺麗な感じとラフな感じと小洒落た感じと汚い感じの中間くらいが理想だす』
こうゆう事を言うのだ。
それが、久高光。




当時独立前の自分は、属するお店が無かった為に家で切るしか無かった。

正直、家だと環境によってはベストを尽くした技術が提供出来ない。
久高さんの前でベストを尽くせないのが嫌だった。
だから今回はやるけど、料金はいらないと言った。

その事への、久高さんからのメール。
彼の文章をそのまま張る。

ちなみに、彼は貧乏だ。
ものすごく貧乏。


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違うなんかさ

例えば俺はまさしさんたちにライブきてもらっても半額にしたりしないの
ちょっとは安くするかもだけど

主催者さんがそれだけの価値があると決めたもんだし自分たちはそれ以上の何かを提供する
ってもんじゃないすか


誰かは安くして誰かは安くしないのもいやだし


もちろん対バンがしょーもなくて金とれんと思ったらただとかにするかもだけど


まさしさんは腕に自信あるから独立すんだし
なんかそんな安くされたら気持ちよく頼めないよ
逆に申し訳ない感じになる


正規料金よりちょっと安いくらいならありがたいけど


友達にはむしろちゃんと払いたいのんわたくし


お願い致します

来週10日が給料日だからそれ以降で調整できたら助かります



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たいする自分の返信



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さすが久高さん

俺も美容師長いですけど、
カット代浮かせたいだけで切ってくれと言いよってくる人も多いんですよ。

で、そんな時は俺自分を責めるんです。

オーラが足りないんですよね、仕事に対する。

信念もって真っ直ぐ仕事してる人間には、そんな事言えないでしょ

でも、久高さんは最初からそうじゃないって俺はわかってた。

むしろ、今みたいに、ちゃんとペイしたいって言ってくる人だろうなってわかってましたよ。

何かを創造して提供しているって部分で俺も久高さんも同じ気持ちで動いてるんだなって確信もてたから嬉しいです。

で、ですよ。
ちょっと細かくなるけど、髪切るにも、お家とかだとぶっちゃけベストは尽くせないんですよ。鏡がなかったり、光が足りなかったり、シャンプー後の状態を確認できなかったり、椅子の高さで切りにくなったり、色々あるので。

なので、もちろんその環境でのベストは尽くすんですけど、環境の問題で満足できない事も多いので、お金しっかり貰うには気が引けるんですよね・・・
それが正直なところです。

だから久高さんの提案よりは、もう少し安くていいんです。

そのかわり、お店出来たらちゃんと貰います。
友達割引はしますけどね。

だーかーら、
長くなったけどとりあえず行きますからね!笑

お給料とったら連絡してくださいね~
11日くらいにしましょうか?
久高さん仕事終わった後とかに。



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こんなやり取りがあった。


久高さんは、
決して信念は曲げない。
自分の譲れない部分に対してはとことん頑固だった。

このやり取りを見ても、
企画するLIVEにしたって、
自分の産み出す物に対する信念と責任とプライドをひしひしと感じるでしょう。


俺は嬉しかった。


素敵な人と出会えたなって。



でも、死んだらしい。


ばかやろう。





久高さん、俺は、
やすらかにお眠り下さい

なんて言いません。


久高さん、
あんたはさ、
繊細過ぎて世界が息苦しかったと思うよ。
それはわかる。


だけどさ、
あんたはさ、
死んだって楽になんかなんないよ。
その性格じゃあ、天国いったって地獄いったって、
色々な物が見え過ぎて感じ過ぎて、
楽になんかなりゃしないよ。

あなたは、続けるしか無いんです。


創作を。





それが宿命なのでは?





雅志




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